「横浜をつなげる30人」Day2を迎えた2020年11月11日。
この日の会場は、京セラさんが運営する『みなとみらいリサーチセンター』。Day1は完全オンラインでの開催となったため、初のリアルの場での顔合わせとなりました。
横浜の海を一望できる素敵な会場に、やっと会えたという喜びも重なり、興奮している様子がスタート前から伝わってきます。
チームの輪郭を生んでいくDay2では、どんな様子が見られるのでしょうか?
半数のプロジェクト起案者たち
どこか緊張感が漂う中、この日は『ペア対話』からスタート。
1分間ひたすら自己紹介し合い、お互いのことを理解していきます。前回はオンラインだったため、初対面の方がほとんどの状態。なので、まずひとりのことを知れると安心感を感じられますね。
少しずつ、緊張したメンバーの表情が和らいでいくの様子が見受けられました。
ペア対話が終わると、「この日にプロジェクトを発表するか?しないか?」を伝えるチェックインに。
「つなげる30人に参加するからには結果を出したいと思っているので、頑張って準備してきました!」
「最初は横浜に課題はないと思っていましたが、実際に歩いてみると街の課題を発見したので、それをプロジェクトにしたいと思います!」
と、プロジェクト発表の準備をしてきたメンバーもいれば、
「プレゼンはしませんが、セカンドペンギンとして頑張っていきたいです!」
「出てきたアイデアを全力で支援していきたいと思います!」
と、発表はしないものの、積極的にサポートする姿勢を見せるなど、様々なメンバーのスタイルが伺うことができました。
結果、半数を超えるメンバーがプロジェクトの発表をすることに。
PR、農業、グッズ、コミュニティなど、それぞれ横浜が抱えている課題を解決するためのアイデアを披露し合いました。どれも個性が光るものばかりで、早くも生まれてくるプロジェクトに期待が高まります。
生まれた5つのチームの輪郭
オーナープレゼンが終わった後は、「オープンスペーステクノロジー」という手法でアイディア起案者との対話を重ねていきます。
「このアイデアは具体的にこういった感じなんです」と、自身が発表したアイディアを丁寧に説明したり、「うちの技術でこういうものがあるので、親和性を感じました!」「私の知り合いはこういう課題を感じていて、そのアイデアがハマりそうな気がしました!」などと、話を聞いてみたいと思った理由を熱を込めて話すメンバーの姿があったりと、活気あふれる空間に。
時間内であれば、自由に歩き回れるのもオープンスペーステクノロジーの特徴なので、興味あるアイディアの話をすべて聴き回る方が多数いたのが印象的でした。
意見・情報交換が済んだところで、「今興味あるアイディア」を全員が発表します。「マグネットテーブル」という手法を用いて、いよいよチームの輪郭をつくっていくフェーズへ。
「世界一オンラインを活用したイベントづくりがしたい!」
「農業に関わることがしたい!」
と、自身のこだわりを伝える方がほとんどでしたが、
「プロジェクトリーダーをしようと思っていたけど、さきほどの時間でフォロワーでいた方がいいと思いました」「あのアイディアと一緒にできれば面白いと感じています」などと、自分自身の立場を柔軟に変化させた方も。対話のなかで、新たな視点が見えたのかもしれませんね。
そして、このセッションを通じて、5つのチーム(仮)が生まれました。
・都市と農業をつなぐ横浜ランドチーム
・他文化協働チーム
・みんなが元気で住みやすいまちづくりチーム
・新結合チーム
・デジタル、オンライン推進チーム
”自分”から”チーム”へ
さて、ここからはチームでのワークに入っていきます。
まず、年明けに開催していくオープンセッションの準備を進めていきます。「なぜオープンセッションが必要なのか?」をSlow Innovation 加生氏からお話が。
「皆さんは”つながる30人”ではなく、”つなげる30人”です。チームだけでやるとどん詰まりになってしまうので、自分たち自身でファシリテーションをし、アイディアを広げていく体験をしてください。」
目の前にいる30人とつながることが目的ではなく、自分たちでつなげていくのが「横浜をつなげる30人」。とても大事なポイントを聞いて、真剣な眼差しでうなずくメンバーの皆さんがいました。
加生氏のお話を聞いた上で、グループ対話を実施していきます。
『なぜ自分はこのチームにいるのか?』
『みんなでできることはなにか?』
という2つの問いについて、チーム内で考えを共有していきます。
「人生で何をしたいか?と考える機会が最近あり、そこで考えたことと繋がるテーマだから」
「仕事を通じて感じてきた大事なことが、うまく活かせそうなテーマだったから」
と、このチームに参加した理由を、自身の体験談を交えて話していくメンバーたち。
「こういう知り合いがいるので、アイデアを広げられるかもしれない」
「自分のアイデアだけに囚われずに、柔軟に考えておもしろいことをやっていきたい」
自分だけではなく、チームとしてできることを考え伝えていきます。
オープンセッションに呼びたいのは…
続いては、”社会実験シート”を埋めていきます。
議論はせずに、自由にこのフレームワークを埋めていく作業。少し戸惑いを見せるメンバーたちでしたが、少しずつチームの力を合わせて、取り組んでいきます。
静かに意見を出し合うチームもあれば、全員総立ちで和気あいあいと進めていくチームもあって、早くもチームのカラーを感じられる時間に。
このフレームワークが落ち着いたところで、今度はオープンセッションに呼ぶステークホルダーを考えていきます。
オープンセッションという場に、どんな人を呼んだら面白いか?実際にどんな人を呼ぶことができるのか?自分自身が持っているリソースを活用して、どんな場にしていくかを話し合います。
「このプロジェクトには欠かせないから、この人を呼びたい!」
「私こういった繋がりがありますよ!」
「農家をやってる〇〇さんいいですね!」
「え!?それはどんな人ですか!?おもしろい!」
など、それぞれのつながりに興味を持ち合い、盛り上がっていくメンバーの皆さん。少しずつ、オープンセッションのイメージが見えてきたような気がします。
最後の全体共有に向けて、チームごとにここまでの内容をまとめていきました。
オープンセッション へ向けてのワクワクと不安
ここでチームごとに、ここまでやってきたワーク内容の共有タイム。
まずは、「都市と農業をつなぐ横浜ランドチーム」から。
「まだまだまとまりきれていませんが、テーマとしては”場”をつくりたいと思っています。そこに農業を掛け合わせて、新しいものを生んでいきたい。しかし、途中で商売に寄った話し合いになってしまい、なかなかうまく進みませんでした。そこは反省しています。」
と率直な意見を話してくれました。テーマから、あとはどう具体的に落とし込まれていくのか?これからが楽しみですね。
続いては、「他文化協働チーム」。
「まだまだ、他文化へのバイアスが強いのが現状です。なので、これを乗り越え”他文化共同”を実現させていきたい。まだ、他文化は日常的に接点が薄いので、この部分にアプローチできればと思っています。これまで一緒にいなかったような方々を、オープンセッション に呼んでみたいと盛り上がりました。」
と、かなり具体的に課題を伝えてくれました。他文化をテーマにしている分、きっと様々なステークホルダーが集まるのだろうなぁと、聞いていてワクワクする内容でした。
続いては、「みんなが元気で住みやすいまちづくりチーム」。
「このチームは、一番多様なアイデアが集まっているチームです。その中で見えた共通点は、”人”と”心”と”行動”です。人が行動するときのモチベーションは何か?という問いに関心が高く、”行動”や”心”が見える化するような取り組みをやっていきたいと考えています。」
着眼点が哲学的で、どうプロジェクトに落とし込まれていくのか?とても楽しみなチームですね。
続いては、「新結合チーム」。
「”つなげる”がチームのキーワードです。横浜は大きすぎて、コミュニティが分断されてしまっているのが、課題としてあります。コミュニティ間で人材が行き来するようなことができたら、課題が解決されて面白くなるんじゃないかと。まずは企業を超えることの意義や価値を示していきたいと思います。」
企業・コミュニティを超えて、新しい価値を生んでいくことを目指すチーム。コミュニティ分断は社会課題のひとつでもあるので、どうアプローチしていくのか注目です!
続いては、「デジタル、オンライン推進チーム」。
「コロナの影響によりオフラインが失われ、オンライン化がどんどん加速していると思います。その結果、デジタル格差や高齢者の孤独が課題としてあり、この格差を埋めていくことにアプローチしていきたいです。エモーショナルとデジタルのバランスを上手く取っていきたい。」
世の中のオンライン化が、急激に進みすぎたせいで生まれてしまった格差は僕自身も感じる課題。ここに苦しむ人が身近にいるからこそ、ぜひ解決していってほしいと僕も熱くなる視点でした。
限られた時間の中で、精一杯まとめてきたんだなと努力の姿勢を強く感じました。どのチームも熱量と想いが込められており、今後が楽しみなチームばかりでした。
最後のチェックアウトでは、
「このアイデアがしたくてこの場に来ているので、共感してくれて嬉しかったです」
「お互いのことを活用し合えるといいなと思いました」
「今日はとても難しかったです。皆さんから学ぶことがとても多くて、これから頑張っていきたいと思いました」
「不安は感じているけど、こうなったら面白そう!という期待も感じている」
と、様々な感情が出てきましたが、どこか達成感を感じる表情の方が多く見受けられました。
次回は12/23。年明けにあるオープンセッション への準備を、さらに進めていきます。
文章:長田涼