【渋谷をつなげる30人 5期 Day3】〜チームとともに、次のステップへ〜

シェア・送る

IMG_2165

「渋谷をつなげる30人」Day3は、少し肌寒く秋らしくなってきた2020年11月10日に開催されました。

前回、初めて対面での開催となったDay2からより一層仲が深まり、開始時間の前から参加者同士での談笑が生まれていました。そんな温まった雰囲気の中、Day3がスタート。

今回使わせていただいた、渋谷区役所 新庁舎15階の多目的スペース「スペース428」は、コラボレーション機能やシェアオフィスの機能など、様々な可能性を追求して作り上げた空間です。

これまでは、同じ会場で開催することが多かった「渋谷をつなげる30人」。今回は現状がプラスで働き、渋谷区内の様々な会場で開催することができ、渋谷の魅力を改めて感じられる機会となりました。

 

 

7人の立候補者たち

IMG_2223

さて、ここからDay3の内容をレポートしていきます。

Day1,Day2ではお互いを知ることがメインとなっていましたが、Day3からは本格的にイノベーティブなアイディア創出に向けてアクセルを踏み入れていきます。

まずは恒例のチェックインから。
チェックインでは、「この1ヶ月自身が取り組んだこと」をテーマに一人づつ発表していきます。結婚やお子さんが生まれたハッピーな話題や、それぞれの所属する企業や団体での取り組みについてなどを発表していただきました。

すでにメンバー感のコラボレーションプロジェクトが生まれていたり、今期の「渋谷をつなげる30人」のつながりからインタビューを行ったりと、Day3にして早くも新しいプロジェクトやつながりが生まれていることも明らかに!

チェックインのあとは、いよいよ「このテーマでプロジェクトをやりたい!」という立候補者を募り、その方々にプロジェクトへの思いを語っていただきます。今回は、7名の立候補者にプレゼンを行っていただきました。

IMG_2264

お一人目は、フローレンスの森山さん
大人が大人の常識を子供に押し付ける教育に違和感を感じており、子どもたちの意見をしっかりと吸い上げて、子供が伸びやかに成長できる未来をつくる保育園や学校で、子どもたちのやりたいことを大人がバックアップする仕組みをつくりたい!との想いを語っていただきました。

 

お二人目は、PLAYNEWの畑間さん
子供の遊び場が足りていないという渋谷区の課題に対し、この課題を解決するイノベーションを「渋谷をつなげる30人」からつくりだしたい!という想いを語っていただきました。

 

3人目は國學院大學の清水さん
これからの未来を作っていく学生たちに、もっと機会を提供したいという想いを語っていただきました。清水さんの学生さんたちを思う気持ちや、普段の大学でのお仕事への愛が感じられました。

 

4人目はエースマイリーの矢澤さん
世の中には様々なマイノリティの人たちがいて、その人だからこその経験を知ることで、人生が豊かになるという実体験のお話しからスタート。そこから生まれた、渋谷区の基本構想である「ちがいをちからに変える街」を象徴する人たちの渋谷30人絵本をつくりたい!というプロジェクトを発表していただきました。

 

5人目はホーン松本さん
「一人の時間を豊かにしたい」という想いから立ち上げたご自身の事業である「ソロメシ」。ソロメシの経験から、「場」としての飲食店の可能性を広げたいと考え、今回の「渋谷をつなげる30人」でのプロジェクトとして提案をいただきました。

 

6人目はサッポロ不動産の高木さん
「ストリートアートやライブパフォーマンスを恵比寿でやりたい!」という想いと、「恵比寿は違法駐輪件数が都内で一位となってしまったことなど、街の課題を解決したい!」という2つの想いから、課題解決の場をストリートアートやライブパフォーマンスの会場にするというプロジェクトをプレゼンしていただきました。

 

7人目はFUSIONの前田さん
前田さんは前回から固まりつつあったアイディアを踏まえて、誰もが渋谷で自己表現できる「渋谷ド派手デビュープロジェクト」をプレゼンしていただきました。

IMG_2291

7名のプレゼンテーションを受け、ここからは、オープンスペーステクノロジーという手法で自分のやりたいことや興味に近いプロジェクトに集まって対話をしていきます。いくつかの原則のもと、メンバーはテーマを自由に移動しながら、自分のやりたいこと、貢献できることを対話を通して探っていきます。

 

 

対話の中で見えてきたチームの輪郭

IMG_2303

午後はマグネットテーブルからスタート。午前中の対話から見えてきた「自分はこれがしたい!」と思うことを紙に書き、一人づつ発表していきます。その後、一緒にプロジェクトを考えていきたいメンバーで集まりました。

ファシリテーターの加生氏から、「チームに入ってほしい人をリクルーティングしても良い」というアドバイスや、名古屋での事例として「半分のメンバーが参加する15名のチームもうまくプロジェクトを推進できていたので、人数を気にするのではなく自分の気持ちを大事に!」とメッセージもあり、メンバー全員が自分の気持ちに素直に従ったチーム編成ができていたと思います。

最終的に5つのチームが作られ、各チームでグループ対話をしながら、このメンバーでこそのプロジェクトの内容を深めていきます。

・なぜ私はこのチームに入ったのか?
・なぜ私達は一緒になったのか?
・なぜ、今、この取組をする必要があるか?
をテーマに対話をしていきました。

筆者である私も参加させていただいた”30人絵本チーム”では、子供の頃からの原体験やみんな一緒に対する違和感、多様な人と一緒にいる心地良さなどが共通の認識としてあげられました。

そこから、具体的にどんなプロジェクトにしていきたいかを対話していきます。我々のチームでは、「最終的な絵本の形だけでなく、絵本を作る過程自体をイベント化してみては?」「絵本のページを渋谷の街中にちりばめるのはどう?」など、どんどんアイデアが膨らんでいきました。

IMG_2321

ここで、5チームのプロジェクトについて簡単にご紹介します。

・異彩×絵本プロジェクト
渋谷に縁のある多様な30人の生き方に焦点を当て、それを様々なライターやクリエイターが絵本にしていくプロジェクト。その絵本を作っていく過程をイベントにしたり、渋谷の街を舞台に絵本の内容を紹介していきたいと考えているチームです。

・ド派手デビュープロジェクト
渋谷の街中の大型ビジョン等でアーティストのデビュー作を流し、様々なアーティストのデビューを応援するプロジェクト。優秀な作品等には企業から逆オファーが来たり、就活とも絡めた仕組みをつくりたいと考えているチームです。

・飲食店DEゆるっとつながるプロジェクト
だれかとつながることも大事で、それだけでなくつながり方を選択できるようにするプロジェクト。飲食店を介して、人と人とがゆるくつながる仕組みをつくることを目指します。

・空き空間×地域課題解決プロジェクト
街の空間や土地を活用し、その場に適した行うコンテンツを考えていくチーム。子供と関わり合いながら、未来を作るコンテンツを作ることを目指していきます。

・渋谷就活ワールドカフェプロジェクト
就活の段階で、学生が未来に対する希望が暗いという課題解決を目指すチーム。働くことは「良質なありがとうをたくさんもらうこと」ということを伝られる”就活ワールドカフェ”を行うプロジェクトを。

各チーム、自分たちのプロジェクトについて考えが深まってきたところで、早くも次回のオープンセッションに向けての問いを考えていくワークに入っていきます。まだそれぞれのプロジェクトについて内容も決まりきっていないこの段階で、オープンセッションを行うということにメンバー全員が不安に思っているところ、加生氏から「アイデアを詰めていく前にオープンセッションを行うのが、つなげる30人の肝なのです!」というお話が。

この段階でオープンセッションを行うことで、アイデアが出てこなくなってしまう状況の前に、多くのステークホルダーを巻き込んで解を広げていくことができ、よりその後のアイデアを発展させていくことができます。さらには、この段階でこれまで学んできたファシリテーションをメンバー自身が実践し、自分たちでワクワクする問いを立てて実践する効果を肌で感じることができるのです。

また、
みなさんは、渋谷をつなげる30人です!みなさんがつながるのではなく、つなげる人なんです!」とのメッセージもいただき、メンバーも先程の不安な表情からなるほどと納得した表情へと変わっていきました。

 

 

オープンセッション の必要性

IMG_2315

ここから各チームはオープンセッションにどんな人を呼びたいかを考えていくのですが、これがなかなか難しい!

加生氏からは「議論に持っていかずに、アイデアを出していってください!」とのアドバイスがあったものの、やはりどうしても「問い」についての議論になっていってしまいます。

「マイノリティという言葉も人によって解釈が違うのではないか?」「恵比寿って駅前を指しているのか、街全体をイメージしているのか?」などワーディングで悩んでしまったり、「そもそも働くってなに?」など、哲学的な方向に行ってしまうチームもあり、「う〜ん」と頭を悩ませてしまいます。

すると加生氏からはまたもやこの状況を予知していたかのように、「詰まってしまう経験をここでしてほしかったのです。だからこそオープンセッションが必要なんだということを、1ヶ月後のオープンセッションで実感できると思います。」と伝えられました。

さらに、ゲストとしてオープンセッションの重要性を実感している先輩として、渋谷をつなげる30人3期生の「落書き消しプロジェクト」のメンバーのお二人からお話をいただきました。

IMG_2329

らくがき消しプロジェクト」は2年前の渋谷をつなげる30人から生まれたプロジェクトで、現在も活動が続いており、渋谷サスティナブルアワードの大賞も受賞しました。

しかし、このチームもオープンセッションの「問い」づくりにはとても悩んだそうです。らくがきは悪なのか、はたまたアートなのか。真逆の立場での議論が行き詰まってしまい、どうしたら良いのかわからなくなってしまったそうです。お二人は「あの時間は地獄の時間だった」と語っていました。

はじめはチームメンバーの合意を目指していて、うまくいかなかったと言います。そこから「みんなもともと違う人間なんだ!」ということに立ち返り、関わる人みんなが「楽しくなること」をやろう!と発想の転換をすることができたそうです。

そこからは、メンバーはもちろん、オープンセッションに来ていただく方々にもとにかく楽しんでもらおうという方向を目指して計画し、当日も楽しんで進行することができたと後輩メンバーたちに向けて、アドバイスを語っていただきました。

今期のメンバーからは、具体的にどんな人をオープンセッションに呼んだのかといった質問や、当日のファシリテーションのスキルに不安があるといった質問も投げかけられましたが、同じ立場を経験したお二人からの回答は、今期のメンバーにとってとても参考になるものばかりでした。

 

 

”楽しむこと”を忘れない

IMG_7741

この日の最後は、それぞれのチームで考えた「オープンセッションに呼びたいステークホルダー」と「一緒に考えたい問い」を共有。

それぞれのチームに対して、過去の「渋谷をつなげる30人」メンバーである先輩方からフィードバックをいただきました。

どれも核心をついた内容で、ハッとしているメンバーの姿が印象的。ここから、先輩方からのメッセージもうまく取り入れて、来月開催予定のオープンセッションの準備をスタートさせていきます。

 

チェックアウトでは、この日の濃厚さを物語るようなコメントが多くみられました。

「今後どう進むか不安なところはあるけど、なんとかやっていきたい」
「なんとなくやっていきたいことが見えてきたので、これから楽しんでいきたい」
「プロジェクトの課題が見えたので、それと向き合っていきたい」

様々な感情が見えた時間にはなりましたが、皆さん表情はイキイキしているように感じられました。

そして、この日の大きな学びは「楽しむことが大事である」という、とても根本的なものだったように思います。肝となるオープンセッション 、この気持ちを忘れずに臨んでいってほしいと強く願います。

 

 

文章:岩谷真里奈

編集:長田涼





シェア・送る

あわせて読む