2020年8月4日を皮切りに『まちだをつなげる30人』がスタートしました。
背景の異なる多様な人々が集まり、つながりを深めながら周囲の関係者を招き入れ、地域課題解決を行うまちづくりプロジェクト。30人同士がつながり合うだけでなく、一緒に取り組みたい関係者を招いて議論を深めるオープンセッションを開催し、自分ゴトとして課題解決に取り組んでいきます。
8月4日に行われたDay1で『課題の設定・チームの組成』
8月21日のDay2で『解決策のブラッシュアップ』が行われ
約1ヶ月の時を経て多様なチームが生まれ、今回は“8つ”のチーム“8つ”のテーマが形成されました。
今回のDay3では8つのチームがオープンセッションを行います。
※ オープンセッションとは、それぞれのプロジェクトが巻き込んでいくステークホルダー に対して、ファシリテーションスキルを発揮し、対話する場を作るというものです。
そして今回のオープンセッションのトップバッターは、『日本一プロジェクトチーム』
セッションの様子と内容を見ていきましょう。
1.日本一プロジェクトチーム
日本一○○な町田市という、新しい町田ブランド/カルチャーを創出する
このプロジェクトでは、日本一○○な町田市を作り出すことにより、多くの人々に町田市の魅力を発信し、町田市民の豊かな暮らしにも貢献していく事を目的としました。
当プロジェクトでは、街の公園プロジェクトに関わっている建設設計とまちづくりを行う企業、デジタルとアートを扱う企業、空間デザインの仕組みづくりを行う企業、町田市の産業政策課、都市政策課等、多くのステークホルダーを招き入れ行われました。
日本一○○な町田市というテーマに対して、様々な意見が飛び交います。
“コンセプトを決めてトップダウンで行うよりも、まちの人たちで考え、多様な意見を混ぜ合わせながら作っていくのが面白いし、そこからイノベーションが生まれていくのでは?”
“インターネットを通して、町田と世界のjumble(ごちゃ混ぜにする)がつながる仕組みを作れたらカオスを表現できて面白いのでは?”
様々な意見が飛び交う中で、そこから新しい発想が生まれていきました。
・ インターネットにはリアルタイムで国境がない。今のインターネットの流行の仕方は、コミュニティに対して影響度が高く、同じ思想を持った人たちが一気につながれる背景を活かしたまちづくりは、これから基準の一つになる。
・ ストリートのアクテビティをしている人たち、カルチャーの受け皿、名前もつかないような活動が受け止められるようなまち、町田らしさにフォーカスする事から始めよう。
・ モビリティを活用して、中心市街地の移動を楽しくしたい。
2.まちの人事部・広報部チーム
市内で循環する時間・スキルと対価の交換
2つ目のチームは『まちの人事部・広報部チーム』。
このプロジェクトでは、頼みたい困りごとと人とのマッチングを目的とし、市内の中小企業が地域の子育て中の女性や学生、会社員の副業へ仕事を頼める仕組みづくりをビジョンとして掲げます。
当プロジェクトには、市内の事業者、コワーキングスペースの運営や働き方の仕組みや、ワークシェアの仕組みを作っている企業、岐阜県で活動中のNPO法人、大学生等、様々なステークホルダーが集いました。
この問いに対しては、
“業務の一部を外注する際に、どのように業務の切り出しを行っていけば良いのかが分からない。”
“頼める人材のイメージが沸かない。”
“学生時代に地元の中小企業などの身近な場所でインターンが行えると、自分のキャリア像を描いていきやすい”
などの意見が生まれました。
このような意見から、アイデアの種が生まれます。
・ 企業がイベント行う時のアイデアや人材が欲しいところもあり、その際に市内で循環しあう仕組みを創る。
・ 仕事を請け負う仕組みづくりだけでなく、「共感」をもとにした企業と地域の人材の間の「コーディネート」を請け負う。
企業側からの要望もあり、市内での循環が巻き起こす事が出来る環境づくりへの第一歩を踏み出しました。
3.F C町田ゼルビア活用プロジェクト〜鶴川団地の活性化〜チーム
人の繋がりが色濃い街づくり、団地こそ人と人の繋がりの象徴!
3チーム目は『F C町田ゼルビア活用プロジェクト〜鶴川団地の活性化〜チーム』。
このプロジェクトでは、FC町田ゼルビアを活用し、団地の繋がりから地域の活性化をテーマとして掲げ、鶴川団地センター名店街、子育てをターゲットにイベントを行う企業、鶴川地区協議会など、多くのステークホルダーが参加されました。
事前に具体的な案として、『団地deパブリックビューイング』『団地deアート』が生まれていたこのチームの問いに対して、
“大きなものでなく、年配の方でも気軽に参加できるようなものがいいのでは?”
“世代間の交流は課題であり、また地域の人々からは、エンタメを期待する声が大きい”
“大きなイベントを実施するだけでなく、団地の高齢化に対応する日常的な活動にしていく必要もある。すでに実施しているスローモビリティの1台をゼルビアカラーにして、日常からゼルビアを意識できるようになると良いのでは?”
様々な意見交換が行われた中、いくつかのアイデアが生まれました。
・ 今回の取り組みの中で、高齢者のフレイル予防の数値を達成したら、リターンを受ける事が出来るなどのソーシャルインパクトボンドの仕組みを鶴川地区から始められないか。
・ 障がい者のアートを知ってもらうきっかけとして、団地に大きな作品を描く。
・ シェアサイクルの導入を検討し、鶴川団地を拠点としてゼルビアキッチンや野津田スタジアムにアクセスが可能にする事はできないか?
・ 日常的なコワーキングスペースを作り、団地のコワーキングスペースで仕事をし、その後にゼルビアの試合をパブリックビューイングで見る事が出来る仕組みづくりをする。
『FC町田ゼルビア・鶴川団地を活用する』という具体的な案から始まり、そこからより具体的なアイデアが生まれていきました。
4.地元の野菜を地元で食べよう!チーム
〜つながる!まちだ野菜〜
4チーム目は『地元の野菜を地元で食べよう!チーム』。
このプロジェクトでは、『まちだの野菜』にフォーカスしたテーマを掲げました。
市内の事業者、水耕栽培を行う企業、観光コンベンション協会、地元農場の生産者などのステークホルダーが集いました。
この問いに対して、
“『生きている』という実感を商品に込める事が出来るかが重要で、町田の野菜を買う意味を考えたときに、知っている人から買う、自分たちで作る、作っている現場が見える等、リアルさが大切なのではないか?”
“農家と消費者をつなげる流通の仕組みの中に飲食店があっても良いのでは?”
“流通が農家にとって負担となっていると聞く。消費者と農家、両者をつなぎ、両者にとって良い取り組みを考えられたら良い。”
“自然から遠い地域に住んでいる人が、都心から近い町田で自然を体験できるという事で、農業体験に参加する人も多い”
ここからどのようなアイデアが生まれたのか、
・ 農家と消費者のつなぎ役として、飲食店が関わる
・ 自分たちでオリジナルの流通システムを作るのも面白いのではないか
・ 単純に野菜を食べるだけでなく、野菜に込められたストーリが大切だ
・地元の野菜を通して、地域の活性化を目論む当チームが、新しい町田の野菜流通システムを作っていく過程が非常に楽しみである。
5.しごと創造プロジェクトチーム
地域と企業がつながる事ができる役割=『しごと』を創りたい
5つ目のチームは『しごと創造プロジェクトチーム』。
当チームでは、“障がいを持った方々”や“子供”にフォーカスし、地域と企業がつながる事ができる仕組みづくりをテーマに掲げました。また、地元の竹の活用方法についても議論が繰り広げられていきました。
認知症当事者と障がい者の方とのコラボレーションで素敵なカトラリーを試作し、これを市内や都内で広めていくにはどうすれば良いのか?
この具体的な問いから、様々な意見が広がっていきます。
“地元で作られた竹製品は、安心して買う事ができるので、価格が少し高くても魅力的である。竹で自然と触れ合える場所が近くにあるのは、場の提供にもつながる。”
“子供を呼び込むために竹林をあそび場として提供し、カトラリーの制作過程を伝え、興味を持ってもらう。そうすることによって、地元のお母さん世代がカトラリーを買うきっかけになるのでは?”
“カトラリーを使いたい!と思ってもらえるような、製品自体の魅力と、そこに付随するストーリーをもう少し整理した方が良いかも?”
様々な意見から、いくつかのアイデアが生まれてきました。
・ カトラリーをお祝いの品としてブランディングしてみる。竹はすくすく育つので、子供の成長を願う品として良い。
・ 口コミやS N Sを活用して、魅力を広げていく。そのためにはまず使ってもらって、手に取ってもらう事が需要である。
・ 竹を中心に『オフィスグリコ』のような事ができれば、認知症当事者の方や障がい者の方が日常的に企業と接点を持つ事ができる。
障がいを持った方々と企業の接点を作るために、地元の竹を利用し、そこから地域の発展にも繋げていく過程が今後どのように発展してくのか、新しい仕事の形を創造していきました。
6.デジタルまちだチーム
メイドイン町田のデジタルサービス
そして6つ目のチームは『デジタルまちだチーム』。
このチームでは、生活や仕事を充実させるための、日本・世界につながるような“メイドイン町田”のデジタルサービスを生み出していく事をテーマとしました。
地域限定のコミュニティツールのスマホアプリを制作している会社や、シニア向けスマホ講座を行っている企業、などデジタルサービスに関連するステークホルダーが参画。また、『ナゴヤをつなげる30人』のメンバーの参画もあり、様々なつながりからのメンバーが集いました。
この問いに対しても、様々な意見が発せられます。
“高齢の方々で、スマホを持っていない事が課題である。”
“一部の地域では、スマホを使って病院を呼ぶ事ができるサービスが実施されている。”
“5Gによって遅延のない映像配信ができるようになるなど、デジタルによる環境の変化が起こりつつある。”
“デジタルサービスを使うきっかけは、相手がいるから使う、そこにコミュニケーションが生まれるというものが基本にあるにでは?そうでないと、緊急情報などの一方通行の発信になってしまうのではないか。”
様々な意見から、アイデアが浮かび上がってきました。
・『町プロ』という町田市と医師会が連携しているプロジェクトの中で、在宅医療を推進しているため、医師会の方と繋がってみても良いかもしれない。
・ 最初の一歩としてスマホ教室を実施する。
ビジョンの一つとして掲げている“スマホ普及率一位”も、小さな一歩として、スマホ教室を実施し、高齢者の方々がスマホに触れる機会を増やすことによって、町田市のデジタル化の未来への一歩と繋がっていくと感じました。
7.資金調達チーム
すべてのプロジェクトに資金を届けよう
7つ目のチームは『資金調達チーム』。
法人格のない『まちだをつなげる30人』で事業を実施する場合、資金の管理、運営をどのように行っていくのか、をテーマに掲げました。
上記にあがった他のチームとは一風変わったテーマを掲げた当チームでは、町田市商工会議所や中小企業診断士、その他にも様々な企業をステークホルダーとして招き入れました。
当テーマの問いに対しての意見として、
“透明性が大切であり、費用対効果が問われるのでは?”
“ルールに縛られすぎて活動が限定的になるのは良くないが、一定のルールのもときちんと資金の管理をすべきである。”
“自主財源のみだと、発想も現状維持にとどまる。補助金を獲得することにより、未来を描いてさらに一歩ランクアップしてみようとなっていく”
“乾杯チャリティという、ビールを買うと金額の一部が活動団体に寄付されるという事例がある。趣旨に賛同した人が、対象商品の購入を通じて寄付できる。”
本当に多様な意見があり、その意見発想から、アイデアが創出されていきます。
・ 資金調達グループで集めたお金をサポートオフィスに集めるのはどうか。
・ 『趣旨に賛同したら、○○で買い物してください!』と宣伝し、そのお金で地域に還元していく。
他のチームへのサポートをする側面を持つ『資金調達チーム』が、今後、他のチームの活動をバックアップしていきます。
8.子ども市議会チーム
子どもが考える政策を大人が全力で実現するまちを創る
そして当オープンセッションのラストを飾る8つ目のチームが『子ども市議会チーム』。
町田市に住む子どもたちが自分たちで考えた事を形にし、10年後も町田市に住み続けてよかったと思えるような街にする、そんな想いがテーマとなったのが当チームです。
富山県のスポーツ復興課、オリパラ2020組織委員会、スポーツに関連のある人々や、名古屋市社協、昭和大学の教授など、多様なステークホルダーが集いました。
『スポーツに焦点を当て、フットボールを活かし子ども達が遊びで街を盛り上げには?』
この問いに対して、
“子ども達が自由に遊ぶ場所が少なくなってしまった。外で体を動かすことへのハードルが非常に高くなってしまっている。”
“子ども達は、遊びを創造し、進化させていくのが得意なので、子ども達を主体にした遊びを作っていくのが良いのではないか?”
“外遊びが好きな子は、好きな遊び、得意な遊びしかやらないので、スポーツが嫌いな子ども達は輪の中に入れない。子ども達がオリジナルのゆるスポーツを作っていくのは面白い。”
子ども達が外で遊ぶことへのハードルが上がってしまっている現状を危惧する意見が溢れる中、様々なアイデアが生まれました。
・ 親子で来てもらうスポーツ教室で、ゆるスポーツをすることによって、運動したい!と思えるきっかけを作ってあげる。
・ 子ども達が考えた遊びを、大人(例えばホームタウンチームの選手)が全力でやっていたら面白のでは?
・ 子ども達が考え出した“遊び”を大人達が具現化する。そんなアイデアが溢れた。
8つのチームにより、個性の溢れるテーマで行われたオープンセッション。様々な意見交換から、多様なアイデアが生まれました。
今回のオープンセッションでブラッシュアップされたアイデアを基に、各チームが『まちなかプロトタイピング』を考え、次回12月8日に発表を行います。
文章:野村 亮太
編集:長田 涼
【まちだをつなげる30人 参加団体】
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