【京都をつなげる30人 第3期 Day1】〜京都発脱炭素ライフの実現に向けて〜

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2021年12月3日、第3期「京都をつなげる30人」がキックオフしました。

「京都をつなげる30人」とは、京都市に関係する企業・行政・NPO・市民の30名(概ね企業から20名、行政から2名、NPO・市民から8名で構成)が参加し、連携して「つながり」を深めながら、まちの課題解決のための事業を約半年かけて立案・実行する、まちづくりプロジェクトです。

今期で3年目になる「京都をつなげる30人」。これまでの2年間で「京都をつなげる30人」から、様々な取り組みが実現してきました。

今回の「京都をつなげる30人」の大きなテーマは、「京都発脱炭素ライフスタイルのコレクティブインパクトを生み出す」です。

昨年度、京都市では「京都市地球温暖化対策計画<2021-2030>」が策定されました。
しかし、2050年の脱炭素を自分ごとで捉えることが難しいため、自然エネルギーや電気自動車などの供給側の議論に終わってしまうことが多いのが現状です。

それに対して、2050年に脱炭素が実現しているとしたら、「市民はどんな豊かな暮らしをしているか」という需要側のビジョンを企業・行政・NPO/市民が協働して描くことが重要と考えたときに、

・電気が自然エネルギー由来に変われば、私たちは何もせず、今まで通りの暮らしを続けるのでいいのだろうか?
・あるいは、私たちは需要側(ライフスタイル)から世界の変化を起こしていけないだろうか?

京都という地だからこその脱炭素ライフの実現に向けて、京都をつなげる30人は走り出します。

また、今回の京都をつなげる30人では、3つの新たなチャレンジを掲げています。

 1.政策と連動した出口戦略

京都市温暖化対策室との協働により、「脱炭素ライフスタイル」推進プログラムと連動したプログラムとして位置付ける。つまり、京都30で主体的に生み出したイノベーション案が、市の政策に取り入れられる道筋ができている。

 2.社会実装までを継続フォロー

これまでの京都30は半年後の3月にプログラムが終了し、そのあとは各プロジェクトの自走に任せていたが、第3期はプログラム終了後の4月〜9月の6ヶ月間、京都市との協働で社会実装していくための伴走を行う。

 3.リーダーシップ開発のための個別支援

これまでのセッション中心の京都30に加え、コア企業として参加するメンバーについては、個別のリーダーシップカウンセリングを実施し、オープンイノベーションなどの複雑なプロジェクトを推進するためのリーダーとしてのあり方について、その発達を支援する。

従来のつなげる30人では、約半年間のプロジェクトで一旦は終了し、そこからの活動については各プロジェクトが各々進めていくスタイルでした。
しかし、今回は従来のプログラムに加えて、京都市の政策と連携をしてより大きなインパクトを与えられるような仕組みづくりにチャレンジします。

加えて、”コア企業5名をハブとして30名を組織化すること”を新たな仕組みとして取り入れました。
イノベーションテーマの問いを決めて、そのテーマに合ったNPO・市民・行政を招待することで、よりファーカスを絞った組織づくりを行います。

新しい形で始まった京都をつなげる30人。
京都発脱炭素ライフの実現に向け、大きな一歩を踏み出します。

参加者レポート -参加者の声-

そしてここからは、今回「京都をつなげる30人」に参加してくださった、学生スタッフの鼓谷さんのレポートとなります!

「京都をつなげる30人」初参加の鼓谷さん。参加者目線でのレポートを是非ご覧ください!

つなげる30人について

2021年12月3日、日本に2件目のオミクロン株の新型コロナウィルスが見つかった快晴の日に、国内でも類い稀なるコンセプトで昨年オープンしたQUESTIONビル7階、クリエイティブ・コモンズにて第3期「京都をつなげる30人」がキックオフしました。

3期は33人の参加者と4人のスタッフの総勢37人でスタートです。

まずは代表の野村さんから想いを共有していただきました。

まず、とても印象的だった言葉は「一つの大きな特徴は企業の人、行政の人、NPOの人がここに集まっています。この30人の輪があると京都中のいろんな課題解決を出来る。そんなことを目的に集っています」です。

そして、こう続けられました。

「よく課題解決というと、課題があってその課題を解決するためにはこういう風にやって、こういう人が必要でと論理的にやっていきます。しかし、その方法でやると自分がやらなくてもいいのでは?と思ってしまうこともあります。結果、よさそうだけど解決しないということが起こったりします。そして、論理的な解決策は他の角度(例えば部署)からすると目的が違うので関係なかったりもします。そして、モヤモヤが残ります。でも、「市民」はその街の課題全てに関係しています。そして彼らの生活は全てが一致していなければ、違和感が出てしまいます。」

そんな中テーマである「京都発の脱炭素社会とは?」にも触れられました。

「論理的な解決策は確かに必要だし大事だけど、それだと、どこでやっても同じになってしいます。例えば、みんなが電気自動車にのり、ゼロエネルギーハウスに住む京都は京都らしいのでしょうか?京都発の部分はどこに現れるのでしょうか?今回の京都30ではみなさんともっと大きなくくりで何が出来るのかを考えていきたいと思います。全ての事柄や課題は繋がっているのに、バラバラに考えているのが今のカタチ。なら、今回ここに集まって30人の「市民」がつながれたら「コレクティブインパクト」を生むことが出来るのではないでしょうか。」

そして、最後に

「ここはプロジェクトを立ち上げるのが目的ではなく、私たちの仮説を検証するための場所です。そのためのプロジェクトだったり、取り組みだったりがこの場所から生まれていけば嬉しい。これは私たちが自分たちの社会システムを取り戻すチャンスです。」

と話されました。

チェックイン – 気持ちの共有 –

そんな主催者側の想いを聴いたところで、今度は参加者の番です。参加者全員が円になり、自分の名前、所属、今の気持ちを共有しました。

去年開催された第2期は新型コロナウィルスの影響でzoom開催だったのですが、今年はついに円となりチェックインをすることができました。

それぞれ緊張だったり、期待感だったりを胸に秘めながら1人ずつの話に耳を傾けます。

今年も多種多様な人が集まっています。
このプログラムの目玉は民間の人、行政の人、そしてNPOの人が混ざった参加者たちが集まっていることでもあります。

京都で生まれ育った人もいますし、大学で京都に来てそのまま就職した人も、就職で京都にきた人も、京都に移住してきた人もいました。
それぞれが、それぞれの関わり方や向き合い方で京都の未来を考えているアツいメンバーが集っていました。

自己紹介の後は、それぞれが気になっている脱炭素や社会課題についてシェアしていただきました。
脱炭素への懐疑的な意見や、つながりの希薄さ、こどもの未来への不安や、大人の責任など様々な課題観が共有されました。

プロアクションカフェ – お互いを深く知る –

その後、3人一組に分かれてさらに深くお互いを知るため、「プロアクションカフェ」を行いました。

30人全員の想いの表出を目的に、1人ずつ順番に語り、他の2人がコーチとなり対話をします。

テーマは

  1. 本当にやりたい大切なことは?
  2. 不足しているものは何だろうか?
  3. エレガントで小さな一歩は?

僕が入ったチームでは、サスティナブルな取り組みをしている会社に認証を出している会社の方と京北で地域課題に取り組まれている方との3人グループでした。

じゃんけんの末、僕から話すことになったのですが、僕が最初に脱炭素社会の実現は手段で目的ではないと発言したことから話しは思わぬ方向へと転がっていきました。

結局30分強あった時間で僕たちは概念的な話ししか出来ずに終わりました。

その中で僕らとして大事にしたいと出たのは、目的を共有しながら別の手段でその目的に取り組んでいる仲間を見つけていくかという点でした。脱炭素社会の実現だけでなく、全ての社会課題の解決を目的とする上で大事なポイントだと思います。

そして、それを実現する為にはビジョンの共有が出来ていないのではないか?という話しになりました。

では、如何にしてビジョンを共有するか(強制でも強要でもなく)について検討してみた結果、僕らがまず始められることは、時間を設けずに語り合うこと(価値観をすり合わせる)が出来る時間と場所の確保なのではないかという話しになりました。

そうして迎えたお昼休み。

多くの参加者が外にご飯を食べに行くにも関わらず、僕はお弁当持参だったので、他に残った数人と交流しながらご飯タイムをしていました。

桂で自給自足ではなく供給供足を目指しパーマカルチャーの手法を取り入れた農園を管理されている方や、京都大学で農業倫理を学ばれている大学生で現在は休学して環境活動に力を入れている方などかなり濃いメンバーで循環型の暮らしや持続可能な生き方、さらには自分のルーツであるシュタイナー教育の話しに花が咲いている間に休憩は溶けていきました。

オープンスペーステクノロジー -チームの組成 –

午後一番には、コア企業をチームリーダーとしたオープンスペーステクノロジーが実施されました。

それぞれのコア企業が今回のチームを引っ張っていくチームリーダーとなり、各社が自社のリソースを最大限使って脱炭素社会の実現へと突き進みます。

今回は5社のコア企業さんから5つのテーマが出て、そして5つのチームが結成されました。

■高架下イベントチーム
阪急線沿いの高架下でのイベントを通して、脱炭素について知ってもらうきっかけ作りをすることを目指すチーム

■ボードゲームチーム
脱炭素社会を実現するために、それぞれができることをボードゲームを通して多角的に考えられるようなボードゲーム考えるチーム

■こどもチーム
こども達が自然と脱炭素や多様性に触れるきっかけ作りを目指すチーム

■SDGsツーリズムチーム
エコツーリズムを通して京都発の脱炭素社会の実現を探るチーム

■地域コミュニティチーム
コロナ渦によりつながりが希薄になっていることを課題として掲げ、その解決を図るため、地域とのつながりのためのコミュニティ作りを目指すチーム

メタバース空間でエコツーリズムを通して京都発の脱炭素社会の実現の実現を探るチームや、とりあえず明日から始められる脱炭素生活を実践してみることから始めることにしたチームは近くの移動は車では無く歩くなどの対策から息を止めて二酸化炭素の排出量を減らしてみる取り組みまで様々なトライをしてみる模様です。

個人的に驚いたことは、自己紹介のタイミングや自己紹介シートにゲーム好きと書いた人は居なかったにも関わらず、実際にはゲーム作りをしている人や、暇さえあればゲームバーに通ってゲームを楽しむ人などが集まってかなりレベルの高い議論になっていました。

それを全体で発表し、次回のオープンセッションに向けてどのようにその時間を使うか話し合いをしました。

オープンセッションは、各チームが参加者以外の人たちを呼んで自分たちのやりたいことを一緒に考えていける時間です。
オープンセッションをどのように使うかは各チームに委ねられています。
いつ開催して、誰を呼んで、何を聞いたり一緒に考えたりしたいのかを明確にして臨みます。

各チーム最後はその作戦会議をしました。各チームある程度方針を決めて終了しました。

チェックアウト

最後のチェックアウトでは、

「脱炭素や社会課題について自分が日常で考えていることを、対話を通して改めて実感するきっかけとなった」

「こんなに多様な人たちと対話をしたのは久しぶりで、あっという間に時間が過ぎた」

など、今日の感想と今後への気持ちを全体にシェアして、DAY1は終了しました!

食事会 – つながりを深める –

その後、QUESTIONビル8階のDAIDOKOROにて、有志で食事会をしました!

クエスチョンビルには、コミュニティキッチンが併設されていて、そこで今回の参加者でもある鮨 くも助の大将である長谷川さんにお寿司を握っていただきました。

その他にも鳥の丸焼きや、参加者が食材を調理してペペロンチーノやグリル野菜を作るなどの交流もしました。

一緒に料理して、食べるという体験は参加者同士の距離をさらに近くさせます。仕事モードの時では無く、少しオフモードに近い環境での共同作業で新たな一面や、さらに深くお互いの事を知り、これからのプログラムで何ができるか楽しみになった人も多かったのではないでしょうか。

DAY1を通して、これからこのメンバーで京都のどんな風を吹かせることが出来るのか楽しみになりました!

期待を胸に日常へと戻っていこうと思います。

この後、1月17日から1月21日に各チームがオープンセッションを行いました!

次回は、2月17日に”システム変革セッション”行います。

システム変革セッションでは、具体的な協働アクションを決めると同時に、各チームの活動が京都の脱炭素ライフスタイルに、どのようなシステム変革をもたらし得るかを考えます。

プロジェクトがより具体化される次回のセッションも非常に楽しみです!


文章:野村 亮太・鼓谷直紀
編集:野村 亮太

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