12月16日。京都をつなげる30人、第2期のオープンセッションが行われました。
オープンセッションは、「つなげる30人」の中盤のハイライト。30人メンバーの中で練られた5つの企画をそれぞれのテーマに合ったステークホルダーを招いて開催されました。30人メンバー自身がファシリテーターとなって、京都の社会課題解決のアイデアをステークホルダーと共創していきます。
今回は、メンバーもゲストの方もオンラインで参加ということで、遠方の方もご参加くださり、豊かな対話が繰り広げられました。
テーマ1)持続可能な観光
このチームからは、30人メンバーのアミタさんが南三陸町や生駒市で展開してきた、「分別ゴミステーション」をSDGsの象徴的なアクティビティとするアイデアが出ました。
プロジェクト起点となる場所は、阪急さんがまちづくりの場として洛西口駅に今年オープンしたTautを想定しています。
このような住宅地のSDGsアクティビティが「持続可能な観光」と言えるようなものになるのか、ゲストも交えて話し合い、「その地域の文化的リソースと組み合わせたSDGsアクティビティ」を発見することが重要であるとなりました。
今後は洛西口のフィールドワークを行うことで、この地域の文化資源を発見することに加え、地域住民のもつニーズをもっと深く探っていくことで合意しました。
テーマ2)持続可能な京都企業
このチームの企画は、テーマを「Relocal」。
地方に行くだけでなく、都会にいてもできる、新しい自然との共生の提案です。
30人メンバーで、施設や住宅設備の設計・施工をされているFujitakaさんや、町家を再生したコワーキングスペースを運営するガーデンラボさん、すでに京都市で地域に根ざして幅広く活動されているNPOみのりのもり劇場さんらが中心となって、SDGsの観点でも多くの項目に当てはまることになる、地元木材利用を促進するビジネスの可能性について話し合いました。
スギダラケ倶楽部を始められた若杉先生にこれまでの活動経験を紹介していただきながら対話を進めることで、このチームでは「いかに地域の人たちに自分の資産の価値を感じ・考えてもらえるか。そこから始めることで、街の人たちも地元の木材を使いたくなるという循環が起きる」と、このチームで一番に大切にしたいポイントが見えてきました。
プロジェクトの立ち上げでは、手段・方法・アイデアが先行になってしまいがちなところ、それぞれが大事にしたいポイントを確認し、ここからアイデアを練り直してくことに、ワクワクするメンバーの姿が見られました。
テーマ3)多様な人が一緒に暮らす
このチームでは、社会に余っていて使われていないリソースを持ち寄ってつなげることで、LGBT、ひきこもりなど社会での生きづらさを抱える人たちも含めた多様な人たちが共に暮らしていく、新しい形態の家・場所をつくれないかというテーマで対話が行われました。
エディブルスクールヤードなど、様々な人の心の拠り所になるような場をお持ちの方たちの話や、ひとり暮らしの大学生の思いなどを聞きながら、そういった場の必要性をあらためて感じました。
京都自死・自殺予防センターsottoの運営を持続可能にするために立ち上がったTERA Energyさん、空きスペースを活用して大学生支援の場づくりなど先進的な取り組みをすでに実践されている不動産会社のフラットエージェンシーさん、そして学生のハブとなって動いている京大生など、それぞれのリソースを活かしたプロジェクトを来春には動かせるように、と想いを深める場になりました。
テーマ4)京都の多様性再発見
このチームでは、京都にすでにある良さ・価値を発見するため、SDGsにまつわる小さなものがたり、京都の文化、さまざまな考え方を集めたいということセッションが行われました。チームメンバーやゲストの方も交えて、「京都に住んでおもしろかったところ」を話し合う座談会のような、和気あいあいとしたオープンセッションとなりました。
全体として京都で皆が感じているのは、察する文化、空気を読む風習。30人メンバーの一人でもあり、代々京都で商売を営んでいる直七法衣店さんが語る京都のビジネス常識に、他府県のメンバー・ゲストからは「えー!」と驚きの声の連続。
一方で、京都に住んでいても若い世代は決まったコミュニティ内の人とだけ接していて、京都文化らしい文化に触れることがあまりないといったことも明らかになりました。
最終的には冊子などの形にしていくことを目標としつつも、「アウトプットを急がずにプロセスも丁寧にスローに進めたい。」というチームの意志もあって、あたたかい人と人のやりとりから生まれる緩やかな時間の流れのようなものがすでに形成されているのを感じるセッションでした。
テーマ5)持続可能な働き方
最後のオープンセッションは、持続可能な働き方のチーム。このチームでは、集まったメンバーとゲストでそれぞれの持続的な働き方のキーワードを話してもらい、そこから自然と話が広がっていきました。
「都市に出ていって会社に就職」という雇用形態だけではなく、グラデーションのある働き方、複業をいくつも持ったり、地方に移住しながらキャリアを広げたりと、そうした概念に共感する皆は、共通して、普段から、混沌を歓迎する姿勢や、こだわりや思い込みを手放す、といったことを意識されていることが分かりました。
金融機関でありながら、多様な人が集う場を今年オープンした京都信用金庫さんのクエスチョン、京都に移住する人たちをサポートする京都移住計画さん、子連れで利用できるコワーキングのオトナリラボさんなど、30人メンバーの中でもすでに広い視野で働き方をとらえ、面白い取り組みを実践しています。
さらにこうして様々な方たちと語り合いつながっていくことで、この動きが一部のニッチな活動ではなく新しいスタンダードとして、ますます今後広がっていく可能性が感じられるセッションとなりました。
新たな景色へ
今回のオープンセッションでは、ゲストの方に来ていただくことで新たな視点が見え、ぼんやりとしていた企画のコアとなる深い部分を共に確認しあったり、次のステップに進む明確なアクションが見えきたり、どのチームも大きな前進がありました。
どのセッションもまだまだ続きを話しあいたくなるような空気が余韻として残る、熱のあるセッションでしたね。ここから改めて「スタート!」というようなメンバーの意気込みが見られ、今後の展開が楽しみです。