「つなげる30人」の一番の肝とも言えるのが、オープンセッション。
「京都をつなげる30人」から生まれた7チームそれぞれが、自分たちの力でオープンセッションを開催しました。
最後は、お寺を活かして地球が喜ぶ未来の人財育成を目指す「お寺×企業」チーム。
会場は、祇園の中心地にほど近い建仁寺両足院です。
京都をつなげる30人の企画趣旨にご賛同頂き、通常は座禅会などの催しの際にのみ足を踏み入れることの出来る特別な空間にお招き下さいました。会場となるお部屋に入った途端、眼前に広がるお庭に圧倒されます。
両足院を五感で感じるチェックイン
お寺に相応しく、オープンセッションは「あなたにとって”生きる”とは?」という哲学的な問いを自己紹介に
スタートしました。初対面で直ぐに深い話に繋がるのも、場の力を感じます。
そして、みんなで両足院内を静かに感じる時間。
頭の中にある声を鎮めて、ゆっくり歩きながらお庭を眺め、大きく空気を吸い込み、風を感じ…
通常のワークショップモードから、とても穏やかな、感性を開く対話モードに切り替わりました。
EGO(エゴ)から、ECO(エコ)へ
これからの対話の時間に向けて、副住職の伊藤さんよりお話をいただきました。
その中でも特に、参加された皆さんがグッと引き込まれたのが「GからCへ転換していきましょう」という言葉。
伊藤さん
「日常ではついつい自分のことばかり想いを巡らせてしまいエゴに陥りがちですが、意識を少しでも全方位的・地球単位に広げていくことができれば、エコの意味合いも深くなってくると思います。
その時に大切にしたいものとして、「視座」「信念」「勇気」の3つを常に自分自身に問いかけ続けています。
「視座」とは、Quality of Material(物の質)、Quality of Life(生活、ライフスタイルの質)、Quality of Spirit(魂の質)の3つの視点のこと。この3つを出来るだけ高いところから、持続可能なイノベーションを考えていくことが出来れば良いのではないかと考えています。
「信念」について。信念を持つことが時として”こうでなければならない”と足かせになってしまうこともあります。そうならないよう、本当に自分が大切にしている価値観は何なのか?自分の信念を洗い出して見つめる必要があります。
「勇気」は簡単なようで難しいものですね。どうか変化することを恐れずにいて欲しいと思っています。
今日も、視座・信念・勇気を持ってお話し頂ければ、これからのお寺のあり方が社会に接続される良い未来を作れるんじゃないかと感じています。」
とても優しい口調ながらも力強いメッセージで背中を押して頂き、いよいよワールド・カフェ形式で対話をスタートさせます。
お寺を持続可能に活かすには?
お寺を活かして、地球が喜ぶ未来の人財を育成するために、チームが設定したテーマは次の3つ。
①お寺×企業
お寺と企業・ビジネスマンの組み合わせで、これまでに無かったものや、これからの時代を引っ張るイノベーションが起こせないか?具体的には、企業の檀家制や、お庭を見て感性が開かれた状態で新規事業の打ち合わせをしたりが出来ないか。
②お寺×内省・学び直し
お寺の中で心を落ち着けて、自分自身を見つめ直す機会を提供できないか。もっとお寺と人生の距離を近づけられないか。
③お寺×エンタメ
京都のお寺・神社・まちの合同で開催する展覧会「まるごと美術館」の活動を参考に、地域の活性化をしながら、お寺も同時に盛り上げていくことができないか。
この3つのテーマでテーブルを分け、「お寺を持続可能に活かすには?」の問いを深めます。ワールド・カフェを3ラウンドして、参加者20名全員の知恵を混ぜて、芽が出てきた意見は次の通り。
お寺×企業
- 中長期計画を策定する
- 庭の案内士
- 仕事をする前に法話を聞いたり、お庭を眺めて感性を高めたり、座禅をして整えるような朝会
- NeetをNeedに。社会的弱者の方々が、サービス受給者ではなく世の中を変えていく側になるようなプログラム
お寺×内省・学び直し
- お掃除をしたい
- お坊さんレンタル
- 普段日常生活では出会わないマイノリティの方と出会う場が提供されるプログラム
- 自然を感じながら、体を動かしながら修行がしたい
- 親子で、人生を学ぶプログラム
お寺×エンタメ
- お守りがダサいのでオシャレにする等、色んなところからお寺の敷居を下げたい
- ただ来て帰るだけでなく、体験型のように、お寺で思い出になるようなアクティビティをする
- お寺さんらしさを崩しては欲しくない
クロージング
「お寺だからこそ」深まる話、発せられる言葉、湧き出てくるアイディアが有ることを参加者お一人お一人が生身の体で体験した豊かな時間となりました。
このオープンセッションを踏まえて、Day5以降ではいよいよ具体的にプロジェクトのスキームを創りあげます。
お寺の力をどこまで引き出し、活かしていくことができるのか?とても楽しみです!
《文章:内英理香》